ミヒャエル・エンデ

(1929〜1995)ドイツに生まれ、19歳で演劇学校へ入学。26歳 で舞台脚本を書いたことがきっかけとなり、作家活動をはじめる。1960年に初の児童文学書「ジム・ボタンの機関車大旅行」でドイツ児童文学賞を受賞。1973年、エンデ 44歳の時に「モモ」を発表。以降、65歳でこの世を去るまでに多くの作品を残した。 

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「グレイッシュとモモ」の原案となったのは、1973年に発表されたドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデの作品「モモ」です。

 この物語は、町はずれにある円形劇場の廃墟に住みついた、年齢も素性もわからない不思議な少女モモが、時間泥棒に盗まれた町の人々の時間を取り返すお話です。作者のミヒャエル・エンデは、長い旅の途中に出会った謎めいた旅行者からこの話を聞いたと物語の「あとがき」に書いています。そして、謎の旅行者は「この物語を過去のことのように話したが、将来起こることとして話してもよかった、どちらでも大きな違いはない」と最後に付け加えたというのです。

 将来の贅沢に目がくらみ、豊かな時間や心穏やかな生活が失われていくとき、いつの時代にもこのストーリーは現実のものとして捉えられるということかもしれません。つまり、人間らしく生きるということの大切さはいつの時代も変わらないということを、エンデはこの物語を通して、「今」を生きる私たちに語りかけているのではないでしょうか。