「グレイッシュとモモ」脚本・演出 酒井晴人さんの言葉

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ある日、ミヒャエル・エンデさんが、ボクに“種”をくれました。
─『モモ』という“種”
その“種”を、懸命に育てたら『グレイッシュとモモ』という“花”が咲きました。
そしてその“花”は、また“新しい種”を生み出しました。
その“新しい種”を、遠くの町まで運んでくれるモノが現れました。
幸い、その“新しい種”は、その土地で芽を出すことができました。
その土地のモノ達が大事に育ててくれたからです。
水をもらい、光を受けて、その“新しい種”は、スクスク育ってゆきました。
やがて葉が繁り、そして・・・・

エンデさんは、ある学校で自分の作品を朗読した後、
生徒たちのインタビューに答えたそうです。

「私の本は、分析されたり解釈されたりすることを望まない。
それは体験されることを願っている」と。

以前、ドイツで酷評されたインテリの大人たちに向けての言葉でもありました。
花をみて、美しいと感じる心に難しい解釈はいらないのです。
ダンスや歌を楽しむのに理屈はいりません。まさに“劇”も同じです。

まずは社会の重い荷物を肩からおろし、ありのままの心で観劇して下さい。
その荷物を、また背負う勇気を与えることが“劇”にとっての至上の喜びなのですから。

さて、今回の『グレイッシュとモモ』は、その土地で、どんな花を咲かせるのでしょうか。
願わくば、ご覧になったお客様、ひとり一人に

また“新たなる種”を持ち帰ってもらえれば、ありがたき幸せにございます。

酒井晴人/さかいはると

脚本・演出・出演/激弾BKYU 主宰

・激弾BKYU https://bkyu.com