いろえんぴつプロジェクトにとって必要で大切な学びの場をはじめます!

現代社会において、多様で多彩な人の営みがあたりまえになるようにと、私たちはいつも願っています。

 

だれもが自分の「色」で、自分の「心」を表現できるようにと、私たちは常にアナウンスしています。

しかし、待てよ?

そんな私たちがまだまだ分からないこと、知らなきゃいけないことたくさんあるよね!

障がいの多様性や、生きづらさについて、当事者の話を聞いてみたいそこからたくさんの学びが得られるはず!

 

そして、ありがたいことに私たちの身近には、そうしたことを話してくれる、

教えてくれる頼もしき仲間がいるじゃないですか!

 

さあ、はじめます!いろえんぴつプロジェクトの学びの場


 

トップバッターは、いろプロの大切なクリエイティブパートナー

みんな大好き、グレモモのモモちゃんを演じている、俳優の東野醒子さんです!

舞台上の演技があまりに自然で、言われなければ気づく人がいないのですが実は、東野さんには進行性の難病「網膜色素変性症」という視覚障害があります。

俳優として様々な舞台で活躍を続けていた30代で障がいが発覚、東野さんは、どのように障がいを受け入れたのか、そして表現することを諦めずに今日まで続けることができているのはなぜなのか東野さん自身の言葉で、表現で、聴くことができる場になります。

 

・・・・・・・・・・・・・講師紹介・・・・・・・・・・・・・

東野醒子/とうやさめこ

 

山梨県甲府市出身。俳優。メンタル心理カウンセラー、障害者職業生活相談員の資格を持つ。蜷川幸雄演出舞台「にごり江」でヒロイン、たけくらべの美登利役をオーディションで射止め舞台デビュー。1985年に在籍していた劇団若草の酒井晴人と共に激弾BKYU(激弾B級)を創立。30代で網膜色素変性症という進行性の難病を発症。視覚障害という自身の経験を踏まえた「耳で見る世界」を体現するドラマリーディング講演を、小・中・高校・大学、養護学校や福祉施設、市民活動の会などで多数開催している。

「耳で観る世界を感じよう」

研修会は三部構成で行われました。まず、講師の東野醒子さんがご自身の半生と視覚障がいについて語ります。 現在、俳優として活躍する東野醒子さんが演劇に興味を持ったのは、小学校高学年での壮絶ないじめ体験がきっ かけでした。学校を卒業後は、演劇の道に進み、蜷川幸雄の舞台にも出演。テレビや映画に挑戦し、これからさ らに活動の場を広げていこうとしていた、そんな時に、網膜色素変性症という進行性の難病に罹っていることが わかりました。その事実を受け入れるまでに要した時間は、10年。10年の間に、東野さんの視野は少しづつ狭くなり、見えづらくなって、怪我をすることが増えていきました。自身が怪我をすることに加え、さらに東野さ んが心配したことは、自分が「加害者」になる可能性がある、ということ。

「自分の視野の外にいる小さな子供を、不注意に線路に突き落としてしまったら?」 

そして、40代前半に、東野さんは白い杖を持つことを決心します。視覚障がい者である東野さんと出会ったことをきっかけに、「自分に何ができるか」考えてみてほしい、と東野さんは言います。視覚障がい者として学校で講 演する際、生徒たちに次のような話をするそうです。

「勇気を出して声をかけたのに、断られたとしてもガッカリせずに、その人を少しの間、見守ってあげてほしい。」

大切なのは、あなたが差し伸べた手を受け取ってもらうことではなく、視覚に障がいのあるその人が必要としていることを知ろうとする姿勢、つまり、コミュニケーションの力なのだ、と。 視覚障がい者として舞台に立ち続ける東野さんは、大好きな演劇をこれからも続けていきます。東野さんのライ フワークであるというドラマリーディング「グレイッシュとモモ」。20分のこのドラマリーディングが二部で披露されました。

三部では、ドラマリーディング「グレイッシュとモモ」を体験して、分ち合いの時間が持たれました。参加者は、仕事も年齢も性別も様々で、ドラマリーディング「グレイッシュとモモ」を何度も体験している人も、今回初めての人もいました。感想を話し合う時間の中では、こみ上げる思いに言葉にならない人、子どもの頃のことを話 す人、自分の子供のことをぽつりぽつりと話し始める人、と、みな導かれるように話し始める姿が印象的でした。 東野醒子さんのドラマリーディング「グレイッシュとモモ」は心の中にある「なにか」に語りかけ、扉をひらいてくれるようでした。

研修会を終えて、参加したみなさんはとてもいい顔をしていました。初めて聞く視覚障がい者の現実と未来への 希望、20分のドラマリーディングでは、そこにいた誰もが「耳で見る」体験をすることができました。今日のこの体験は、明日へと繋がる一歩になることでしょう。

*東野醒子さんの研修会については、その内容をできるだけ多くの方と共有したいので、後日連載での掲載を行う予定です。

*いろえんぴつプロジェクトの研修会は、かわさき市民公益活動助成金事業の対象となっています。


 

いろプロの大切なクリエイティブパートナー

グレモモのジジキッズダンス講師として毎回お世話になっている我らがレイナ先生に、お時間をいただき、研修会を開きます!

「インクルーシブなチーム作りについて」

アメコミ好きな女性がダンスの世界に飛び込み、障がいのある子たちに出会いダンス指導を続ける中で、自ら「レイベル」という多様な世代特性のある人たちとダンスチームを作り、活動を行うに至っているその道のりについて、じっくりお話を伺いましょう!
多彩で多様なチーム作りを目指すいろプロにとっても、参考になることがたくさんあると思います。

これまで、みんなが頼りにしてきた、レイナ先生のこと、まだまだ知らないことだらけ。

質問ぜめ、必至(笑)

 

・・・・・・・・・・・・・講師紹介・・・・・・・・・・・・・

REINAcoco/れいなここ

 

神奈川県川崎市出身。ダンサー、ダンスインストラクター、振付師、RAYVEL代表。

 

2016年からNPO法人ダンスラボラトリーの講師を務める。放課後等デイサービスでも毎週ダンスレッスンを行っている。2019年にインクルーシブダンスチーム「RAYVEL」を結成。「何かを理由に夢や挑戦することを諦めない」「誰もが誰かのヒーロー」このメッセージをダンスを通して、世界中に伝えていくことを目的に活動している。

「インクルーシブなチーム作りについて」

優しく人懐っこい声で話すレイナ先生は、その印象通り優しい笑顔と丁寧な口調のダンス講師です。そして、ダンスチームの代表もしています。日本にはたくさんのダンスチームがありますが、レイナ先生が率いるダンスチームには、他にはない特徴があります。

それは、障がいのある子も障がいのない子もごちゃまぜなダンスチームであるということ。 レイナ先生がこのインクルーシブダンスチーム「RAYVEL(レイベル)」に込めた思いとは?「RAYVEL」で成し遂げたいことは?「RAYVEL」の活動を通して、私たちが学ぶことはなんでしょうか。

レイナ先生がダンサーとして、クラブで活動していた時、あるダンスチームとの出会いがレイナ先生のその後の 人生に大きな影響を与えることになります。レイナ先生は、そのチームの一員として、福祉施設や養護学校でダンスを披露する活動に参加しました。その活動の中で、障がいのある人に出会うことになるのです。2016年からは川崎市で活動するNPO法人ダンスラボラトリーにダンス講師として参加、レッスンを受け持っています。「ダンスを通して障がいという垣根をなくしたい」という理念のもとに活動するダンスラボラトリーに所属する子たちと過ごすなかで、レイナ先生は、障がいについて多くのことを学び、また、障がいのある子たちが、たくさんの可能性にあふれていることを知ります。

インクルーシブダンスチームを作るきっかけとなった出来事があります。それは、「カワサキ ハロウィン」。JR川崎駅前で繰り広げられる仮装ダンスパレードで、ピーク時の 2010年代には、パレード参加者約3000人、パレード観覧者12万人という日本最大規模のハロウィンイベントでした。2018年のカワサキハロウィンに参加した、アメコミのヒーローに扮したレイナ先生率いるダンスラボラトリーの子たち。沿道にいるたくさんの観覧者が、声援をおくってくれました。障がいがあるとか、障がいがないとか、関係なく、ヒーローの姿をした子が、 お客さんとハイタッチしている姿をみて、レイナ先生にある思いが湧き上がってきました。

「誰もが誰かのヒーローなんだ!」

パフォーマンスを通して、パワーを届けたい。あなたにもその力がある、ということを伝えたい。 レイナ先生は、人間のもつ可能性を信じています。障がいがあったとしても、その人にできるやり方でたくさん のことを身につけることができる。レイナ先生と RAYVELは、それをダンスパフォーマンスを通じて、世の中に示してくれています。 

*レイナ先生の研修会については、その内容をできるだけ多くの方と共有したいので、後日連載での掲載を行う予定です

*いろえんぴつプロジェクトの研修会は、かわさき市民公益活動助成金事業の対象となっています。


 

第3回の講師は、ユニークな支援で運営する「喫茶ほっと」の施設長

喜納辰洋さん、通称たっちゃんです!

ちょっと不思議な喫茶店「喫茶ほっと」はこころの悩みや障がい、病気、それらによる生き辛さを体験した人たちが、自分らしい生き方を創り出すことを目指して皆で集い、支え合いながら、働いたり語り合ったりしている場です。

喫茶部門と優しい味のお菓子を作る製菓部門があり、メンバーはそれぞれ自分に合った働き方を模索しながら過ごしています。

心の悩みや障がい、病気、生き辛さという言葉になんとなく反応したアナタや、無添加で優しい味のお菓子に興味を持ったアナタ、懐かしい味で人気ナンバーワンのナポリタンや、自家製チーズケーキが食べたいと思ったアナタは、喫茶ほっとに来てみれば?!

 

・・・・・・・・・・・・・講師紹介・・・・・・・・・・・・・

喜納辰洋/きなたつひろ

 

沖縄県出身。精神障がい者地域活動支援センター「喫茶ほっと」施設長、NPO法人たかつdeほっと副理事長・事務局長。

 

明治学院大学文学部心理学科をギリギリの成績で卒業後、東京都内の精神障害者施設に勤務するも、職場の方針や人間関係に悩み鬱病・不安神経症を発症し退職。療養期間を経て、2000年より現在の「喫茶ほっと」に勤務し、精神障がい者の相談業務、地域生活支援、心理教育、当事者研究に携わる。2010年鬱病を再発するも、約2ヶ月の療養後、現職に復帰。

 

自身の体験も踏まえた当事者支援は、通所するメンバーからも信頼と温かい目で見守られ、支援者と利用者の敷居が見えない「喫茶ほっと」の独特の雰囲気を作っている。通所メンバーと共に続ける「当事者研究」は、他施設や医療関係者に広がり、現在は講師や出張研究会、製薬会社や病院等との共催研修会も行なっている。

 

二児の父、趣味は古武道・古武術。

「心の病とは自分を守るための道しるべ」

講師の喜納さんが施設長を務める、地域活動支援センター 喫茶ほっと。そこでは、統合失調症やうつ病など精神の病気の方が働いています。喫茶ほっとの特徴は、障がいのある人が その人のペースで働くことができるということ。いつでも休んでいい。好きな時に帰っていい。どうしても苦手なことはやらなくていい。喫茶ほっとも、昔は、今とは全く違う方針でした。障がい者をトレーニングして、健常者に近づけるというやり方。できないことを責めることが多くなってしまい、利用者がどんどんしんどくなる、という状況が続いていました。 うつ病の経験がある喜納さんは、自身を「弱い人間」だといいます。そんな「弱い人間」である自分が生きやすい職場、それを追求していくことで、今の形が出来上がったのです。

そもそも、統合失調症やうつ病などのこころの病気とはどのようなものなのでしょうか。 こころの病気は、防衛本能だと喜納さんは言います。自分の身体や心の限界を超える負荷やストレスから、自分を守るための防衛本能。身体や心がサインを出しているという事、そこに気がつくことが大切です。自分に合わないライフスタイルや人生を見直すサイン・道標でもあるのです。

人間は、本能に逆らって頑張ることができてしまいます。仕事や責任感、世間体や自分の理想像といった社会性を重視しすぎると、心の悲鳴を聞き逃してしまいます。防衛本能を発揮すること=うつ病などのこころの病を発症することにより、自分が何を優先して、何を諦めて、何を大事にして生きるのか、自分の価値観を再確認する機会を得ることができます。 生きづらさのもととなっている価値観や固定概念、思考パターンなどを見直す絶好のチャンスなのです。価値観の転換は容易ではありせんが、それが必要な時もあるのです。 

防衛本能に気がついたら、早めに対処することが重要、と喜納さんは言います。対処が早ければ早いほど、後遺症が少ないのです。どんな場合でも選択するのは自分自身。サインに気づいて、自分を大事にしてほしい、と喜納さんは締めくくりました。

*喜納辰洋さんの研修会については、その内容をできるだけ多くの方と共有したいので、後日連載での掲載を行う予定です。

*いろえんぴつプロジェクトの研修会は、かわさき市民公益活動助成金事業の対象となっています。